第2回 指定都市安全・安心まちづくりプロジェクト会議 議事要旨

1.日時
  平成18年5月8日(月) 午後2時〜5時
   
2.場所
  指定都市市長会事務局 会議室(市政会館6階)
   


3.出席者
  白崎勇紀、岩岡敏文(座長:横浜市)、大関好明(札幌市)、伏見俊一(仙台市)、高橋恒郎(さいたま市)、伊藤博訓(千葉市)、井出長生(川崎市)、渡辺敏一(静岡市)、関山友康(名古屋市)、梅田雅彦(大阪市))、高松八十八(堺市)、岩浪和昌(神戸市)、道下政幸(広島市)、木下秀雄(北九州市)、石橋登(福岡市)
長谷川康夫、谷口正和、西村崇、辻村公雄(指定都市市長会事務局)
樋村恭一、橋本正法、土居洋平(地域交流センター)
   
4.議事要旨
     今回の会議においては、まず、プロジェクトの重点課題である「繁華街対策」の先進事例とされる歌舞伎町の事例について、警察大学校の江崎徹治教授からお話を頂き、特に防犯カメラの設置の経緯を中心に、繁華街対策についての基本的知識の共有を図った。その後、プロジェクトの重点課題に関する各市の取組状況について、事前照会内容の報告と意見交換を行った。
     
(1)基調講演「新宿区歌舞伎町における防犯対策の取組みについて」 (江崎徹治 警察大学校教授)
  ○防犯カメラ設置以前の歌舞伎町の犯罪情勢
   歌舞伎町の単位面積当たりの刑法犯認知件数は、東京都の平均値と比べると40倍で、凶悪犯に限っていえば185倍と犯罪の発生率が極めて高い地区であった。また、新宿区に所在する暴力団事務所の半数は歌舞伎町に集中している状況であった。これに対して警察力も重点的に配備され、都平均の26倍の警察官が配置されていたが、犯罪発生件数が減ることはなく、強力な対策が必要な状況であった。
     
  ○歌舞伎町における防犯カメラ設置の経緯
   現在の都知事が就任して、歌舞伎町の対策は重点的に行われるようになり、防犯カメラの提案をしたところ設置の方向で検討に入ることになった。すぐに課題になったことは、これが合憲かどうかということだった。そこで調査研究を重ね、「違憲とならないために必要なこと」を検討した。その結果、犯罪の起こる蓋然性が高い公共空間に設置するものであって、防犯カメラを設置していることを表示等で明示しており、得た情報の利用にも厳しい制限を設けていれば、設置は可能であるという結論に達した。
 実際の設置にあたっては、地元との関係を重視した。設置にあたって「地元から要望がある」と警察が言うだけでは不十分であり、区長から要望書を提出してもらう必要があった。そこで、地元商店街や振興組合、ホテル同業者組合から区長に設置に賛同する旨の意見を出してもらい、その上で、議会の承認を経て、区長から警視総監宛に要望書を提出して、実際の設置の運びとなった。
     
  ○一般的な防犯カメラ設置の手順
   一般的に防犯カメラの設置にあたっては、7点ほどの課題がある。
 1点目は、プライバシーの問題で、自治会や商店街、行政、各種利害関係者、住民による協議会等を設置して検討し、プライバシーの問題と防犯カメラ設置の必要性を比較衡量して、設置した方が良いという結論のときに設置をすることが望ましい。
 2点目は、「設置の必要性」の判断の基準であるが、歌舞伎町のように犯罪発生の蓋然性が高いかどうか、客引き等により健全な商店街活動が阻まれているという状況があるかといったことが基準になるだろう。
 3点目は、空中占有の許可で、これは指定都市では首長の裁量になるので、その判断が必要になるということがある。
 4点目は、初期費用・ランニングコスト共に一定の費用が掛かることを理解する必要があり、この調達をどのようにするかを念頭にいれて設置をする必要があるということである。
 5点目は、設置管理・運営責任者をしっかりと定めるとともに運用規定等を先述の協議会等で定め、透明性を担保しておく必要があるということである。
 6点目としては、電信柱や電力柱の利用については、電力会社、電信会社の協力が必要になるが、一般の規定だと防犯カメラは電柱に設置することが想定されていないので、事前の協議が必要ということがある。
 7点目としては、目的に応じたカメラの機種選定ということがある。各々何を目的にしているかという観点から機種を選定しなければ、効果的な運用が望めないからである。
     
  ○防犯カメラに関する判例について
   昭和44年の最高裁の判決では、警察による写真撮影を原則として違法としている(京都府学連デモ事件)。ここでは、犯罪が現に行われ、或いは行われた後まもないと認められる場合で、証拠保全の必要性と緊急性があるときのみ撮影は許されるとされている。
 では、防犯カメラの設置は違憲かというと、そうとも限らない。これについては、厳格な要件のもとにカメラ設置を警察の裁量とした大阪地裁の判決(あいりん地区における監視用カメラ撤去等請求事件)がある。ここでは、目的の正当性、客観的かつ具体的な必要性、設置状況の妥当性、設置および利用による効果の期待、使用方法の相当性に配慮して、個別に検討されるべきということで、一定の条件下での設置を認めている。また、昭和62年には、一定の要件のもとでのビデオ録画での証拠を適法とする東京高裁の判例(山谷地区派出所前における器物毀損事件)も出ている。
 最近でもコンビニエンスストアにおける録画を適法とする判例もある(名古屋地裁判決)。こうした関連から言えば、防犯カメラも一定の条件の下では違憲ではないと判断ができると考える。
     
(2)重点課題に関する各市の取組状況と課題の整理結果について
  ○事前照会回答内容の整理結果分析
     市民参加の安全で安心なまちづくりに向けて、8つの側面から照会を行ったが、それぞれの課題点をまとめると、以下の共通課題を抽出できる。
1)人的支援については、人手不足、不測事態発生の場合の責任の所在、人員の資質の向上などの課題が挙げられている。
2)財政・物的支援については、個別要望に応える程の財源がないこと、交付した補助金の効果検証の方法、行政の支援と地域の自主性などが課題である。
3)情報提供については、市民の求める情報の把握、部局での連携した情報提供、提供する情報とプライバシーの問題などが課題である。
4)防犯に関する教育・啓発については、情報蓄積が乏しい、防犯講座設置が困難、受講者が地域でそれを活かしているかどうか、講座参加者が限られているといった課題がある。
5)市民・事業者・関係団体との連携については、意欲の格差、連携の継続、構成メンバーが多岐に渡る場合の意思決定などが課題となっている。
6)警察との連携については、警察の管轄と市の管轄が異なることなどが課題である。
7)市内部の連携については、防犯に関わる部署が多岐にわたり、各部署の事業規模も異なるため調整が困難という課題がある。
8)市職員の意識改革については、人員・予算確保が困難、防犯は警察の役割という意識が強いということが課題として挙げられている。  

     これをまとめると、4つに整理ができる。
A) 人・金・物の支援については、人材・資金の不足、継続性の担保、行政支援と自主性、支援に対する効果測定が課題になっている。
B) 犯罪・防犯の情報提供については、市民が必要としている情報の把握、行政が発信している情報の統一、非公開情報の取り扱いが課題になっている。
C) 行政・市民・事業者の連携については、各主体間での意識格差、連携の継続、統一的対策の不備が課題になっている。
D) 行政・市民・事業者への教育・啓発については、方法と求められる内容、リーダー不在時の対処、地域の自主性とのバランスが課題になっている。

     
  ○各市からの補足・意見交換
   

(広島市)
 4月から各区に防犯の担当課長を設置した。現在、各区の実情に沿った取組みを開始しているところである。

(札幌市)
 昨年、通称ススキノ条例制定など安全・安心なまちづくりの推進のため、本庁に生活安全の担当を設置した。また、今年から各区においても、地域安全担当係長を設置し、交通安全・防災に防犯を加えて、区における窓口を一本化した。各区においては、概ね連合町内会単位に設置している87箇所のまちづくりセンターを中心に支援を行っているが、それを区単位で総括することとしている。関連して、今年、生活安全に関する事業方針も策定する予定である。

(川崎市)
 関係団体に加入してもらっている安全・安心まちづくり推進協議会が7つ全ての区に設置されている。また、川崎市多摩区での先日の痛ましい事件を受けてマンションでの安全対策を市としても検討中。ハード部門を担当しているまちづくり局を中心に、市民局、教育委員会も含めて検討をしているところである。

(仙台市)
 今年4月に新たに条例が施行。それに基づいて、各区に推進委員会を設置した。また、モデル地区を決めて活動をしている。警察署でも同種の団体をつくっており、これとの調整が課題になっている。

(名古屋市)
 各区に安全安心協議会を設置して市民との協働を図っている。また、警察署の参加も得て、警察との連携も図っているところである。

(千葉市)
 市と警察の連絡会議を開始した。市の部長、区長、警察署長による会議で、年2回ほど開催している。これを契機に、警察の方からも様々な情報が出てくるようになった。やはり、お互いの意思疎通は重要である。

(さいたま市)
 今年、市民防犯推進室を設置し、スタッフ3名で対応している。区単位の団体は10区のうち4区で設置されており、今年中に4区でも設置される予定である。それを束ねていく必要があるが、まだ区ごとに専任の担当が配置されているわけではない。

(神戸市)
 平成10年から「神戸市民の安全の推進に関する条例」を施行していて、行政、地域団体、警察が区毎に設置する安全会議にメンバーとして入ってもらっている。

(堺市)
 警察署が市内に5つあるが、大阪狭山市と管轄がまたがっている署が一つある。また、警察署の名称と区の名称が異なり、ややこしい所もある。

(北九州市)
 県警と協力して暴力団対策を推進中である。暴力団対策は警察力の強化が必要である。行政だけでは解決できない問題もあり、本市で発生した暴力団組員の市民への襲撃事件や行政対象暴力等は各都市でも起こり得る共通の問題である。

     
(3)今後のプロジェクトの実施スケジュールについて
     本日の議論をもとに、個別の課題についての現地調査等を実施する。その上で、市長会議に向けた課題点の整理を行う。その後、プロジェクト会議を再度開催して、論点の確認を行う予定である。
     
(4)その他
  ○大阪市ミナミ地区環境浄化・美化推進のための野外大型ビジョンを用いた番組の放映の紹介
  ○ホームページの開設について
   
(了)