第3回 指定都市安全・安心まちづくりプロジェクト会議 議事要旨

1.日時
  平成18年7月14日(金) 午後2時〜5時
   
2.場所
  指定都市市長会事務局 会議室(市政会館6階)
   


3.出席者
  白崎勇紀(座長:横浜市)、大関好明(札幌市)、伏見俊一(仙台市)、高橋恒郎(さいたま市)、伊藤博訓(千葉市)、井出長生(川崎市)、渡辺敏一(静岡市)、関山友康(名古屋市)、森田周平(京都市)、喜田雅弘(大阪市)、高松八十八(堺市)、稲葉英二(神戸市)、道下政幸(広島市)、木下秀雄(北九州市)、三上明(福岡市)
田中勝也、藤間義昭、梶原恒志(警察庁)
長谷川康夫、谷口正和、西村崇、辻村公雄(指定都市市長会事務局)
樋村恭一、橋本正法、土居洋平(地域交流センター)
   
4.議事要旨
     今回の会議においては、警察庁生活安全局から田中勝也犯罪抑止対策室長ほか2名の方にご参加いただき、まず、平成18年7月26日に開催予定の市長会議で報告するプロジェクトの調査検討内容の報告案のまとめ方について討議した。この中では、今回の報告案の位置付けを確認する意見や、報告案に各市の取組みについての記載を追加すべきといった意見などが出された。
 また、警察庁の田中室長から「安全・安心まちづくり」に関する国の取組みについて説明を受けたうえで、プロジェクトメンバーとの意見交換を行い、青色回転灯の設置許可に関する基準緩和や、地域安全安心ステーション事業の内容などについて、確認や要望が提起された 。
     
(1)プロジェクトにおけるこれまでの調査検討内容についてのまとめ
  ○事務局説明
   報告案では、まず、プロジェクトの検討テーマとして昨年の市長会議で論議された「市民参加による安全・安心なまちづくり」、「繁華街・歓楽街の再生」、「安全・安心に関する制度改革」の3点を示した上で、指定都市における現在の犯罪情勢や罪種別の犯罪情勢のデータを提示し、安全・安心まちづくりへの取組みにあっては、空き巣、ひったくりなどのいわゆる機会犯罪を減少させることが一つのポイントであることを示した。
 次に、その上でなぜ市行政が防犯を行うのかという点について、市民生活の質の向上を図る「まちづくり」の観点からの防犯への取組みの必要性を示し、これまでの『犯罪対策は警察の仕事である』という意識の転換を図る必要があることを論じた。また、これらの考え方についての参考として「割れ窓理論」の概要を示した。
 次に、防犯への取組みのためには、防犯環境設計に基づいてインフラ整備を行うなど、ハード面とソフト面の両面の対策を用いて、地域の犯罪に対する抵抗力である「地域防犯力」を向上させる必要があることを示した。また、これに関連して、各市で既に行われている、地域住民の自主的な活動に対する支援、地域住民への情報提供などの取組みを挙げたうえで、これらの取組みに関する課題とその課題に対する解決の方向性を提示した。
 最後に、これまでのプロジェクトにおける調査検討を受けて、今後のプロジェクトにおける取組みの方向としては「地域の幅広い主体との連携をさらに強固にすること」、「警察とのさらなる連携強化を図ること」、「庁内連携体制の整備を図ること」の3点が重要ではないかとの見解を示した。
     
  ○各市からの主な意見
  (静岡市)
 プロジェクトの目的が「防犯対策とまちづくりの連携・協働による安全・安心の再構築」となっているが、このプロジェクトは「安全・安心なまちづくり」が目的であったのではないか。その手段としての防犯があるわけだから、防犯対策そのものは目的ではなく、その中の一つのテーマであると考える。

(札幌市)
 犯罪情勢を示す部分で、体感治安の悪化に関するデータが示されていない。犯罪件数はここ数年減っていることもあり、今の段階で防犯に関して検討する決定的理由を示すためにも、体感治安についての直接のデータを盛り込む必要があるのではないか。

(仙台市)
 なぜ市行政が防犯を行うかを説明する資料に、「安全・安心にかかわる施策を市行政が担任」とあるが、少し表現が弱い。「責任がある」といった強い表現のほうが良いのではないか。

(福岡市)
 現段階では厳しいが、当初の検討テーマが3点あるのだから、最終的にはその3点のテーマに対応した形で報告書をまとめるのが適当ではないか。繁華街対策や制度改革についても、「市民参加による安全・安心まちづくり」と同様にしっかりと議論をする必要がある。

(北九州市)
 大都市特有の問題として、暴力団や外国人犯罪などの組織犯罪対策があり、これについてはやはり警察の力が欠かせない。特に、北九州市の場合は、安全・安心まちづくりにおいて暴力団対策は欠かせないものとなっている。したがって、警察力の強化の必要性を盛り込むとともに、制度改革の議論においては、警察制度のあり方まで踏み込んだ議論をして頂きたい。

(川崎市)
 共通テーマとしては、「市民参加による安全・安心まちづくり」が第一に来るだろう。暴力団・繁華街対策については、それぞれの地域における個別の事情があるし、警察やまちづくり担当部署も巻き込んだ議論の必要も出てくる。当面は、「市民参加による安全・安心まちづくり」への取組みに関して共通認識をつくることに絞って検討し、その後、繁華街や歓楽街、暴力団対策の議論をしてはどうか。

(神戸市)
 当市でも繁華街対策を行っているが、実際には県警と県が中心になっている。市は県条例に基づいての指導も行っているが、役割としては、地域と県警や県を結びつけているところである。よって、取組みの基本は市民参加によるまちづくりを中心に考えている。

(大阪市)
 繁華街対策に関連して、防犯カメラ設置に関する運用のあり方についての議論もしたい。憲法との関連もあり、設置に際して慎重にならざるを得ない部分もあるので、指定都市間でその設置と運用についての基準なりをつくれればと考えている。
 一方で、繁華街対策については、規制だけではなくその次の展開を考えることが必要である。まちづくりと関連づけて、まちの賑わいをどのように確保していくのかを検討するとともに、商店街などの地元にメリットを生じさせてまちづくりに協力してもらうことも重要である。

(広島市)
 子どもを狙った凶悪犯罪も発生している。広島市では、平成17年に起こった事件を受けて全庁を挙げて子どもの安全対策に取り組んでいる。各市における取組みとして、子どもの安全対策の項目も是非加えて欲しい。

(神戸市)
 県、市、教育委員会などから個別に地域の支援・補助金が行われている現状がある。地域で実際にパトロールをする人は同じというケースも多く、関係当局の連携が必要である。この部分も盛り込むべきではないか。

(京都市)
 今後の取組みの方向の中で、「行政区を単位」という表記があるが、市によっては行政区単位での活動ではなく、より小さい単位での活動に軸を移しているところもある。「行政区又は小学校区」といったような表現に変更して欲しい。
     
(2)警察庁担当者から「安全・安心まちづくり」に関する国の取組みの説明と意見交換
  ○総論
     従来、警察は検挙を中心に動いてきた。しかし、近年、犯罪抑止に重点がシフトしている。また、このためには、防犯のためのパートナーとして自治体(あるいは学校、教育委員会等)との連携が欠かせないと考えている。
 これに関連した近年の動きをみてみると、まず、全国の警察が犯罪抑止の取組みを本格化させたのが平成15年である。この前年をピークに犯罪の認知件数が増加し続け、検挙人員も増えてどこの留置場も満員になっている状況だった。これを受けて、この年の1月には警視庁が「街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策」を実施し、警察庁でも同年8月には「緊急治安対策プログラム」を策定するなど、犯罪抑止を本格化させた。また、これを受けて街頭における警察活動も強化された。
 政府全体としても、同年12月の犯罪対策閣僚会議において、行動計画が決定されている。各都道府県においても治安対策・犯罪対策が活発化し、東京都や神奈川県で治安担当副知事(警察出向)が設置された。犯罪関係の情報発信も活発になり、平成16年にはメールを活用した犯罪情報の発信も各地で行われるようになった。
 また、平成16年頃からは、まちづくりと防犯を重ねる動きも活発化した。「犯罪に強い地域社会再生プラン」を策定して、防犯ボランティア支援、防犯パトロール車への青色回転灯設置の運用改善、防犯リーダーの養成等を実施している。繁華街・歓楽街対策もこの観点で行われ、平成17年1月には、歌舞伎町ルネッサンス協議会が新宿区を主体に発足した。
 子どもの安全確保対策についても、重点的に取り組んでいる。各都道府県警において学校警察連絡制度やスクールサポーター制度が拡大しているほか、平成17年には警察庁において「子どもを犯罪から守るための推進要領」を制定するとともに、法務省と子ども対象暴力・性犯罪の出所者情報を共有するに至っている。
     
  ○防犯ボランティア支援と情報の提供
   

 警察庁では、平成16年に「犯罪に強い地域社会再生プラン」を公表し、自主防犯ボランティアへの支援を強化した。この中で、自主防犯活動の拠点・基盤の整備として地域安全安心ステーションの整備や青色回転灯の装備をうたっているほか、効果的な自主防犯活動の実施に向けた支援として、パトロールのサポート制度、消防との連携、「子ども110番の家」との連携、安全・安心パトロールの補完・代替措置なども明記した。
 自主防犯活動は全国的に増加の傾向にあり、平成15年度末で約3,000団体であったものが、平成16年度末には約8,000団体、平成17年度末には約20,000団体へと増加している。警察庁としても、このモデルとなるようなボランティア団体に直接の支援をしている。現在、地域安全・安心ステーションモデル事業として毎年100地区を指定し、指定団体に対して国費にて物品の配布やボランティア保険の経費補助などをしている。
 自主ボランティア団体で運行する青色回転灯装備車も年々増加し、平成17年度末で4,129台の装備車が走っている。これについては、平成18年7月1日からさらに運用を改めたので、今後も増加することが期待されている。
 情報の発信については、現在、全ての都道府県警がホームページを設置し情報発信を進めているほか、犯罪情報のメール配信も一部の都道府県で始まった。今後も、学校や自治体と連携して効果的な発信を心がけたいと考えている。

     
  ○まちづくり関係
   

 まちづくりとの関係でいえば、警察庁では、平成12年に「安全・安心まちづくり推進要綱」を策定(平成18年に改正)し、ハード面での取組みも進めてきた。以後、国土交通省とも連携して取組みを進めている。防犯のまちづくりの基本は、不特定の人が入りにくく関係者から監視しやすいということであって、そうした考え方をもとに対策を進めている。
 また、スーパー防犯灯や子ども緊急通報装置の設置を行うとともに、防犯性能の高い部品の開発と普及に関する官民合同会議において、建物への侵入を防ぐ建物部品の開発についての検討を進めているところである。都市防犯研究センターの調査によれば、侵入に5分以上かかると多くの犯罪者はあきらめるという。そこで、これを念頭に15種2,300品目を防犯建物部品目録として公表するとともに、共通標章(CPマーク)を制定してこれらの普及を図っていきたいと考えている。
 このほか、「安全・安心まちづくりの日(10月11日)」の制定、内閣総理大臣表彰の実施、防犯ボランティア活動活性化のための大会の開催等、犯罪に強い社会を実現するための取組みを進めている。さらに、「まちづくり交付金」においても、防犯に関わるものに積極的に交付をしていこうということになっている。また、自治体と連携して防犯対策を行っている事例も多い。
 繁華街・歓楽街については、「繁華街・歓楽街総合対策の推進」を、犯罪対策閣僚会議と都市再生本部が連携して推進している。歌舞伎町の取組みを全国的に展開すべく、対策を強化しているところである。

     
  ○子どもの安全
   

 平成17年末の事件をはじめとして、子どもを狙った凶悪な事件が発生している。現在、登下校時の子どもの安全確保を重点に対策を行っている。また、「子ども110番の家」については対応マニュアルを作成した。これは、「子ども110番の家」が急速に、自然発生的に広がり手法がバラバラということもあり、ノウハウを提供することを念頭に作成した。

     
  ○各市の意見
   

(川崎市)
 青色回転灯の件では、設置を申請する団体の要件として法人格が求められているが、町内会や自治会は法人格を有していない場合が多いため、申請も受けてもらえない状態のところがある。法人格を有しなくても申請できるようにしてもらいたい。

(京都市)
 地域安全安心ステーション事業を導入している地域もあるが、提供される物品が地元で求めているものと違うことがあって苦慮している。また、同じ地域に京都府からも補助金が出ていたりして、どこからもらって活動すればいいか分からない状態にもなっている。

     
(3)その他
  ○市長会議への竹花 豊 警察庁生活安全局長の出席について
   
(了)