第21回 指定都市市長会議 議事要旨
−「安全・安心まちづくり」に関する取組みについて−

1.日時
  平成18年7月26日(水)  15:55〜17:10
   
2.場所
  グランドアーク半蔵門 3階「華」
   
3.出席者
  札幌市長
仙台市長
さいたま市長
千葉市長
川崎市長
静岡市長
名古屋市長
神戸市長
広島市長
北九州市長
上田 文雄
梅原 克彦
相川 宗一
鶴岡 啓一
阿部 孝夫
小嶋 善吉
松原 武久
矢田 立郎
秋葉 忠利
末吉 興一
警察庁生活安全局長 竹花   豊

 

4.議事要旨
(1)概要
     事務局から「安全・安心まちづくり」に関する取組みについて、プロジェクトの検討状況などを報告するとともに、警察庁の竹花豊生活安全局長から国における取組みなどについてご説明をいただき、今後の取組みの充実に向けた議論や意見交換を行った。
 各市長からは、空き交番を解消するための方策、犯罪発生情報の市民への提供のあり方などに関する意見や、出会い系サイトの規制に対する警察の取組みについての質問が出された。また、今後の取組みの方向としては、さらなる地域防犯力向上に向けた施策や、まちづくりの視点を踏まえた繁華街対策について、制度改革に関する事項を視野に入れて、引き続き検討をすすめていくことが確認された。
     
(2)各市長と警察庁 竹花 豊 生活安全局長との意見交換
 

(竹花局長)
 広島県警本部長時代は、広島市長とともに暴走族対策に徹底的に取り組んだが、県・市・地域の住民と一緒になって取り組むことで成果を挙げることができた。犯罪抑止対策についても同様の視点で取り組むべきと考えている。
 都の副知事時代は、警察との連携も進めたが、当時の都の姿勢としては、治安については全く考えたことがないというところから始まっていた。治安再生の仕事は都だけでなく区市町村の協力なくしては進まないと実感したため、少なくとも2月に1度は区市町村長と都の治安情勢について話し合う機会を設けた。これにより、区市町村長が互いに知恵を出し合い、犯罪を減らすという競争が生じ、これに多くの都民が参加してくれるようになって、大きな成果に結び付けることができた。
 警察も、平成14年の次長通達以降、「検挙に勝る防犯なし」という従来の立場を変え、「犯罪抑止」の立場を鮮明にすることとなった。また、警察任せにできないとして、犯罪抑止を行う体制を自ら作るなど地方自治体の取組みも増えてきた。
 政府全体としても、犯罪対策閣僚会議において「犯罪に強い社会のための行動計画」を策定し、「犯罪抑止」を全省庁的な取組みとしてきたところである。
 こうした中、警察庁としては、都道府県警察に対して、地方自治体へより高次な防犯担当責任部署の設置を要望し、そこに現職警察官を出向派遣させることや、警察OBの効果的な活用を要望することなどを通して、地方自治体との連携を強化するよう指導している。また、犯罪抑止に対する取組みについては、知事や市長がリーダーシップを発揮していくことが重要であると考えており、自主防犯に関するボランティア活動の激励などは積極的に行っていただきたい。
 様々な取組みの中でも、青色回転灯を装備した車両によるパトロールについては、継続性が期待できる有力な取組みであると考えている。全国的にみればまだまだ格差があるので、各市の方にもご理解いただき、車両の確保、整備や燃料の準備などの課題が解決できればさらに取組みが広がっていくのではないかと考えている。
 繁華街対策については、市が主導権を握っている場合、警察が主導権を握っている場合のどちらもあるが、歌舞伎町ルネッサンス協議会のように商店街等も巻き込んでいくことも必要だと考える。警察主導というのはどうしても限界があるので、できれば市の方々の主導もいただきたい。

(静岡市長)
 地域の交番の役割は大きい。これを中心に防犯組織ができていたりする。ただ、警察官の数が足りないため、いわゆる空き交番が増えている。警察OBを雇っても足りない状況である。そこで、静岡市として雇うので配置させてほしいと県警に言うと、最初は喜んでくれていたが、後に地方財政法に抵触するということで駄目だという話になった。

(竹花局長)
 静岡市の嘱託職員として雇うことで切り抜けられないか。交番勤務の警官と役割のあり方を見直す必要があるかもしれないが。この件は、こちらで預かって確認したい。

(北九州市長)
 北九州市では、暴力団対策などのために県警が特別の班を置いている。
 市は、暴力団対策そのものには加勢できないので、警官が犯罪の取締りに専念してもらうことができるように警察に市の職員を派遣している。警察には事務的な仕事も多いので、この負担を軽減して本来の警察業務に専念してもらうねらいがある。
 また、犯罪対策については、学校関係の取組みが一番大きい。ひったくりなどの大部分は少年犯罪であるということも浮かび上がっている。こういった内容については、情報公開を徹底してはどうかと思う。たとえば、交番ごと、市民センターごとなどで「先月はひったくり○件」というように掲示してはどうかと考えている。
 県警は、犯罪発生情報をインターネットで提供していると言っているが、地域住民の目に付くところにある方が、より気をつけるようになる。県警も趣旨は賛同してくれるが、そこまではなかなかいただけない。

(竹花局長)
 市として提供することは可能か。そうであれば、警察として情報を提供することは可能であると思うので、県警に確認してみる。

(仙台市長)
 警察が本気になって市民の安全ということを考えているという認識は、市民の間にも広がっていると思う。依然として警察不信をあおるような報道もあるが、そうした動きに臆せず粛々と仕事を進めていただきたい。せっかくの機会なので3点お話ししたい。
 まず、規範意識の低下にどのように対応するかである。今年も成人式を挙行したが、一升瓶をラッパ飲みしながら登壇しようとする青年がいる状況が続いている。自治体の首長としては、社会のルールを若者あるいは市民に伝えていきたいと考えている。
 次に、民間投資案件への対応である。大規模プロジェクトに関連して、景観や治安の観点からの懸念が払拭できないということで、前市長の方針を転換して民間投資案件に引き取ってもらった経緯がある。土地の所有権を移転するようなケースの民間投資案件については、注意深く見ていく必要があると考えている。
 最後に、情報化社会の負の側面である。出会い系サイトの規制も進んでいるが、携帯電話などの普及も、子どもの非行につながる可能性がとりざたされている。警察としては、IT機器の負の側面から子どもをどのように守ろうと考えているのかお伺いしたい。
 また、仙台市では、「割れ窓理論」を市職員にも徹底している。公用車で市内を回るたびに落書きを発見したら、区長に連絡して消させるようにしているところである。

(竹花局長)
 警察としては、犯罪が起こる社会的な要因を明らかにして、これを小さくしていくことに本格的に取り組むことも重要と考えている。そこで、「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」を立ち上げ、専門家と議論を重ねている。
 たとえば、現在、中学生の50%くらいが携帯電話を持っていて、出会い系サイトなど様々な情報に直接つながるようになっているが、この実態を変えたいと考えている。もし持たせるとしても、キッズ携帯のように有害なサイトに接続できないようなフィルタリングソフトを装備した携帯電話を持たせるようにすることが必要であり、こういったことを事業者や親の責務として位置づけられないか検討している。
 実際に、都では条例にこの趣旨のことを盛り込んだが、罰則もないせいかあまりうまく機能していない。この問題に限っては、研究会の中間報告を9月にも出して、事業者も含めた大きな動きにしたいと考えているが、自治体の方々にもぜひ共通の問題意識を持っていただきたい。
 次に、学校と警察の連携については、地域にもよるが、深い溝があり連携が進まないこともあると思う。そこで有力な取組みとして「スクールサポーター制度」を紹介するが、これは警察OBや教師OBが非行被害防止教育などを行い、うまく学校と警察をつなぐ仕組みをつくる取組みである。県での取組みが多いが、市サイドでもこの取組みを広げてもらえればと思う。

(広島市長)
 広島の暴走族対策は、県警、県、市、地域住民の連携がうまくいった結果である。 実際の取組みとしては、暴走族に対する規制も大事だが、子どもたちの居場所を確保することも必要だった。最終的には、条例で罰則を設けることになったが、それ以外の様々な試みを行ってたどり着いたものであり、結果的に問題はなかったと考えている。
 このときには、毎週土曜日の暴走族の集まりで地域の方々に声かけ運動を行っていただいたが、加えて市職員や県警職員も一緒に見守りを行った。市の職員を長期的に活動させるのは難しいという話もあるが、実際に取り組む際には、ポイントを決めた上である程度の期間張りつけないと効果がないことも真実であると思う。
 また、電子メディアと子どもたちの健全な関係について
の研究会を設置し研究を続けてきたが、その成果として条例化を考えている。内容が良くても悪くても「電子メディア」と子どもを引き離すことが重要であると思う。そのために電子メディア以上に魅力的な仕組みを作って具体的に経験してもらうことを検討している。
 また、スクールガードリーダー(地域学校安全指導員)を設けて警察官のOBの方に学校との連携をとってもらい、学校の校門の内側としては体制ができていたが、通学路についてはまだ死角があったので対策を進めているところである。具体的には、10万人のボランティアを募って子どもと1対1の見守りができることを目標としている。
 さらに、ピザを配る業者がよく使用している三輪バイクの屋根に青色回転灯を装備したものを小学校ごとに配備したりして、もっと子どもの見守りができないかを検討している。

(千葉市長)
 空き交番の問題は、千葉市としても困っているところだが、県財政も厳しい状況であり、すぐに解消することは困難であると理解している。現在の警察力を前提に、地域で守っていかなければならないと市民にも話している。県警に対しては、県全体での交番の再配置をして、本当に必要なところに配置をお願いしたいと思っている。実際にやろうとするとかなり反発が予想されるだろうが、その折には市としても県警の支援をしたい。
 また、従来は学校を地域に開放するというスタンスで塀のない学校を作ったりしていたが、昨今の事件の影響もあり、地域にも開放しながら子どもを守ることをどのように両立させるか苦しんでいるところである。

(さいたま市長)
 空き交番も問題であるが、廃止交番も増えている。さいたま市では、廃止交番の建物を買い取り、「地域防犯ステーション」として地域の自主防犯活動団体の活動拠点に利用している。

(竹花局長)
 国としても警察官の増員を計画して取り組んできているところである。警察庁としてもがんばっているので、各市からも財務省なり総務省に要望してほしい。
 警察庁では、「交番のあり方を見直す」ということで、100箇所以上の交番の廃止を決めたが大きな反発が生じた。持っている警察力を合理的に犯罪抑止に使っていくためには、交番のあり方は見直さざるを得ない状況であるが、さいたま市のように交番の建物を残し、警察官が立ち寄るようにして、地域の安全の拠点として活用することがひとつの解決方法ではないかと思う。
 率直な意見交換を行い、連携を深めていくことは重要であると考えている。市の方でも積極的に県警と話をしていただきたい。

(会長:名古屋市長)
 繁華街対策についてはあまり触れることができなかったが、それぞれの都市は繁華街を相当持っていると思う。繁華街は都市魅力のひとつを担っていることから、これが衰退する、犯罪の多発地域になる、などといったことになっては、それぞれの都市の魅力を減じてしまうことになる。国の「第9次都市再生プロジェクト」で大都市の魅力ある繁華街の再生ということがテーマとなっているが、この話も踏まえて、これからワーキンググループでまとめてもらう必要があるのではないかと思う。

(広島市長)
 広島市では、繁華街における交番の空白地域を解消する対応策として、地域と県警が費用を出して防犯カメラを設置し、繁華街全域を覆うようにした。
 また、地域に自分たちの交番を作ろうという動きもある。警察官立寄所ということで、通常は地域のボランティアの方々が詰めているのだが、そういったものがあるだけでも犯罪の抑止効果はあると考えている。

(会長:名古屋市長)
 凶悪犯罪に対してまちづくりで対応することは難しいが、日常的な犯罪や迷惑行為に対しては、それぞれの市においてまちづくりと関係して対策が進められていると思う。
 一方で、都市権限の強化の中で、軽微な犯罪の対策については都市権限の中に入らないかといった視点もある。これらも踏まえて、地域防犯力の向上や、繁華街対策も視野に入れて、今後のワーキンググループによる検討をすすめてもらうことでよろしいか。
                      〔了承〕

   
(了)