第2回 指定都市安全・安心まちづくりワーキング会議 議事要旨

1.日時
  平成18年10月13日(金) 午後2時〜5時
   
2.場所
  指定都市市長会事務局 会議室(市政会館6階)
   


3.出席者
  岩岡敏文(座長:横浜市)、吉田将行(札幌市)、鈴木裕一(仙台市)、安武昌樹(さいたま市)、岸本直人(千葉市)、佐藤正則(川崎市)、関山友康(名古屋市)、梅田雅彦(大阪市)、安福真敏(堺市)、稲葉英二(神戸市)、木下秀雄(北九州市)、石橋登(福岡市)
谷口正和、西村崇(指定都市市長会事務局)
樋村恭一、土居洋平(地域交流センター)
   
4.議事要旨
     今回の会議では、「子どもの安全・安心」が7月の市長会議でも話題となったことから、まず、「市民参加による子どもの安全・安心の確保」と題して、関西国際大学の桐生正幸教授よりお話を頂き、その現状と課題に関しての情報共有を図った。
 その後、「市民参加による安全・安心なまちづくり」についての検討内容に関して意見交換を行うとともに、来年度も引き続き検討予定の「繁華街・歓楽街の再生」についての課題点などに関して意見交換を行い、あわせて、プロジェクト報告書の構成案等についての報告を行った。
     
(1)講演及び意見交換
「市民参加による子どもの安全・安心の確保」
(桐生正幸 関西国際大学教授)
  ○前提として
   子どもの防犯を考えていくうえでは、現状を可能な限り客観的に分析すること、データをもとにした具体的な対策を考えること、問題解決のためには一つの学問領域に固執しないこと、  様々な関連する組織がネットワークを組むこと、犯罪被害は人災であると捉えること、といったスタンスに立つことが必要であると考えている。
     
  ○子どもの防犯の現状と課題について
   子どもの防犯の現状としては、防犯ベル、防犯カメラ、さすまた等の各種の防犯グッズが普及するとともに、各地で防犯パトロールなどの地域の防犯活動が浸透し、防犯教育も進んできているが、高齢化や地域社会の希薄化といった阻害要因が現れているところでもある。
 しかし、一方で子どもを被害者とする犯罪の認知件数は増加してきており、例えば、今年上半期の数値であるが、山形県では昨年比4倍、兵庫県では昨年比2倍の増加となっている。この中で圧倒的に多いのは、「声かけ」の事案であり、さらに、空き地や公園などでの体感治安も悪化してきている状況である。
 こうした中、防犯グッズを持ってさえいれば大丈夫といった「お守り化」や、自主防犯パトロールに対するモチベーションの維持が困難といったような課題が生じつつある。また、さらに根本的な問題は、子どもに「挨拶しよう」と教えることと「逃げよう」と教えることが矛盾しているのではないかということである。
 個別に見ると、防犯グッズについては、これを有効に活用するプログラムやチェック体制が必要であり、防犯パトロールについては、特定の人だけが参加する現在の活動形態でよいのかといった課題があり、防犯教室については、性犯罪なども問題となっている状況で略取・誘拐に対応した内容だけでよいのかといったことが問題点となってきている。
 このようなことから、子どもの防犯については、現状に即した防犯プログラムや防犯活動を考える必要があるといえる。
     
  ○子どもの安全・安心の確保について
   では、どのようにして子どもの安全・安心を確保すればよいのか。
 その根幹は、「子どもをどのように育てるのか」「地域のあり方をどのようにするか」というビジョンにあると思われる。大人が「人を信じること」と「人を疑うこと」は矛盾しているということを自覚しながら、自分達の地域をどのようにしていくかを真剣に考えることが、防犯教育の第一歩である。このためには、対症療法的な発想を転換し、環境を変えて子どもを変えるのではなく、社会が変わって大人が変わるといった考え方にたどり着く必要がある。
 そのうえで、子どもの防犯を実現していくためには、大人の新しいルールを作っていくこと、学校が市民と行政の中継ぎ的な役割を担っていくこと、明確な理念に基づき行政の指導と対策を構築することが必要である。
     
  ○具体的な取組みについて
   防犯グッズについては、その有効な使用法と管理方法を文書で明示し、継続的なチェック体制を確立することが必要である。活用できる体制にすることも行政の仕事である。
 防犯パトロールについては、防犯活動に特化しないで地域活動全体を促進・指導する中で、人的・予算的な措置を行い、既存組織と連携しながら支援をするということが必要である。
 防犯教室については、地域の実情に応じた教育が必要である。例えば、「明らかに怪しい人に強引に連れて行かれる」という状況を想定した教室は、犯罪の実情にあっているとは言い難い。多くの場合、犯人は子どもよりも巧妙だということを念頭に置くべきである。また、行政が警察関係者や教育関係者と防犯教育に関する話合いを企画することも重要であり、特に警察とは意識的に連携を取る必要がある。
     
  ○防犯教育の理念づくりに向けて
   まずは、大人が率先して「声かけのルール」を作り、子どもに伝えるといった姿勢をみせることも重要ではないか。例えば、自分の地域では普段から積極的に子どもに声をかけて顔の見える関係をつくる一方で、見知らぬ土地で第三者がいない場合には子どもには声をかけない、あるいは、声をかける場合には他の大人を呼んでもらうということからはじめるというルールを作り、大人も子どももこれを共有してはどうか。そして、子どもには、このルールに沿わない声かけの場合は逃げろと教える等の対応をする、といったことである。
     
  ○地域防犯マップについて
   最近、各地で取り組まれている地域防犯マップについても、子どもだけでつくらせるのではなくて、地域と警察が連携して作るべきである。実際の犯罪情報、不安に思っている場所などの様々な情報を重ね合わせることで、各々の地域特性に応じた対策を立てることができる。そして、これを実現させるためには、学校が地域と行政や警察のつなぎ役になる必要があると思われる。
     
  ○まとめ
   現在の「子どもの防犯」のあり方にはいくつもの課題があることを認識し、それを理解したうえで今後にやるべきことを考える必要がある。特に、防犯教育の理念を考え、これを宣言することが大事である。それによってはじめて具体的にどうするべきかということが出てくると思う。
 そして、これを効果的に実践するためには、地域防犯の中に父親と企業が参入する必要があり、また、行政も子どもの防犯への取組みを示すべきである。
     
(2)市民参加による安全・安心まちづくりの取組みについて
     市民参加による安全・安心まちづくりについては、本年度中にプロジェクトとして一定の方向性を示し、取りまとめる予定である。
 そこで、総論としては、「市民参加による安全・安心まちづくりの実現のためには、市民主体の防犯活動の活性化を図ることが重要であり、地縁団体などによる自主防犯活動を主体的に行えるような支援が必要である。」という認識のもと、個別のテーマについて現在の調査状況に関する意見交換を行った。
 
  ○自主防犯活動への人的な支援について
    ・青色回転灯の装備車両によるパトロールについて

 青色回転灯を装備した庁用車は、現在多くの市で導入が進みつつあるが、外勤往来時などのパトロールの可否については、都道府県警間で運用に差がある点が指摘された。制度としては、いわゆる「ながらパトロール」は認められていないが、柔軟な運用をしているところもある。
 また、自主防犯組織が青色回転灯の申請を行う場合には、パトロールを担う人数、組織の法人格の有無の問題で許可が取れないケースがある点が指摘された。なお、これに関連して、警察・行政からの委嘱などで対応している事例が報告されるとともに、導入にあたって効果測定も必要である点が指摘された。
     
  ○財政的・物的支援について
    ・自主防犯組織への補助について

(北九州市)
 設立に際しての物的支援が重要であるが、それ以外については研修等による意識向上などの側面支援を中心に実施するよう心がけている。

・地域防犯拠点について

(さいたま市)
 廃止交番を県警から無償で譲渡してもらい、地域防犯ステーションとして5か所設置した。ただし、古い交番のため1か所50万円程度の修繕をして利用している。光熱費は地元負担である。

(横浜市)
 町内会館なども活用して地域防犯拠点を設置している。これに対しては、区単位で100万円の予算措置を行い、区ごとに自由に振り分けてもらっている。課題としては、拠点の効果検証ということがあるが、拠点の設置が継続した地域活動に対する意識向上に繋がっている面もある。
     
  ○情報提供について
    ・犯罪情報の提供について

(川崎市)
 現在、街頭犯罪の情報提供を市のホームページへ掲載していく予定で、市内の各警察署と協議を行っている。路上強盗・ひったくり・空き巣・車上ねらいの事件名と発生場所について情報発信する予定でいる。

(横浜市)
 区役所からメールやFAXで情報を発信している。区の方からは、警察が直接やってもらえないかという声もある。

(神戸市)
 県警が緊急事案については、直接メールで発信している。また、市内には、県警・消防・区役所・福祉事務所が一体となって情報を発信している区もある。ただし、市民アンケートでは、電子情報よりも交番からの情報発信の方が欲しいという声も多い。

・不審者情報について

 情報の精度が課題であり、何をもって「不審者」とするのかも難しいといった点が指摘され、また、情報の発信の速度の問題や情報を外に出す場合には慎重な取扱が必要となる点などが課題として示された。
     
  ○防犯に関する教育・啓発について
   

(仙台市)
 これまでは、一般の市民を対象として防犯講座を実施してきたが、来年度は、地域の様々な団体をコーディネートする人材の育成を目的とした防犯リーダー向けの研修を考えている。

(横浜市)
 防災関連の講座に比べると、防犯はまだこれからというところではないかと思う。

     
  ○警察との連携について
    (北九州市)
 警察OBの活用とともに、現職警察官の人事交流も実施している。市の担当者からは言い出しにくいことについても、警察からの出向者を通じると言いやすくなることもある。
     
(3)繁華街・歓楽街の再生に関する取組みについて
     繁華街・歓楽街の再生については、来年度も見据えた検討課題を示すとともに、各市の実状についての意見交換を行った。

(札幌市)
 昨年に「ススキノ条例」を施行してからは、カラス族やわいせつな看板が一掃され、地域の活性化の取組みが順調に進んできている。

(福岡市)
 地元議員の提案で、風俗関連営業での勧誘や客待ちを規制する条例が制定され、12月1日に施行予定である。札幌市の条例との違いは、市内全域を対象にしている点である。

(北九州市)
 暴力団の問題が一番大きい。警察・地元と協力して繁華街のパトロール等も行っているが、組織犯罪や外国人犯罪なども含めて、本来の健全な安心して遊べる繁華街の大きな足かせになっている。繁華街の問題を検討する場合には、この点は外せないのではないか。

(横浜市)
 日出町・黄金町の小規模料理店を装った売春宿については、県警と協力して一掃したが、その後の空き屋対策などは地権者も複雑で大きな課題になっている。行政としては、道路拡幅や植栽等の環境面での支援などを通じて地域の活動支援を行っているところである。

(大阪市)
 防犯カメラについては、一定のガイドライン等があると大変やりやすい。実際の設置や運用にあたっては、プライバシーの問題などもあるので、こういった点も協議したい。
     
(4)報告書の構成案、今後のスケジュール等について
     事務局から、現時点でのプロジェクト報告書の構成案や、「繁華街・歓楽街の再生」、「安全・安心に関する制度改革」の点を中心に来年度もプロジェクトを継続していく予定であることが示された。
   
(了)