第4回 指定都市安全・安心まちづくりプロジェクト会議 議事要旨

1.日時
  平成19年3月28日(水) 午後2時〜4時
   
2.場所
  指定都市市長会事務局 会議室(市政会館6階)
   


3.出席者
  白崎勇紀(座長:横浜市)、大関好明(札幌市)、高橋恒郎(さいたま市)、伊藤博訓(千葉市)、佐藤正則(川崎市)、渡辺敏一(静岡市)、喜田雅弘(大阪市)、定木秀早(広島市)、木下秀雄(北九州市)、三上明(福岡市)
谷口正和、西村崇(指定都市市長会事務局)
樋村恭一、土居洋平(地域交流センター)
   
4.議事要旨
     今回の会議では、前半でプロジェクトにおける平成18年度の検討内容のまとめ(案)についての意見交換を行い、「市民参加による安全・安心まちづくり」に関する現在までの検討結果を取りまとめるとともに、後半で「安全・安心に関わる制度改革」の提案内容についての検討を行った。
     
(1)平成18年度検討内容のまとめ(案)について
   本プロジェクトについては、平成19年度も引き続き検討を進める予定であるが、平成18年度の検討内容のまとめとして、「市民参加による安全・安心まちづくり」に関する部分を中心にとりまとめた報告書案をもとに意見交換を行った。
 報告書案の各項目をとりまとめる際に参考とした各市の取組事例の取扱いについては、他市においても同様の事例があるので最終報告書での取り上げ方については工夫が必要であるとの意見や、事例集的なものも必要ではないかとの意見が出されたことから、改めて各市に追加照会を行って取組事例を整理したうえで、最終報告書での記載方法について検討していくこととされた。
     
  ○各市の主な意見
  (さいたま市)
 行政区と警察署の管轄区域が異なる場合に課題が顕在化することがある。警察署同士の連携、県警本部や市警察部と所轄警察署の連携については、市行政との意識の差もあるのではないか。また、市内の所轄警察署を統括するような部署がないということも課題のひとつではないか。

(札幌市)
 行政区と警察署の管轄区域が一致して連携が取れている場合であっても、区境で発生した事件についての情報提供や情報発信には課題が残る。不審者情報の配信にしても、区境付近での情報については、当該区を越えて流れないことがあり、改善が必要な課題であると考えている。

(横浜市)
 不審者は、行政区をまたがって移動する場合もある。横浜市の場合は、所轄警察署から教育委員会に情報が行くが、県警本部からも不審者情報が伝えられる。市としては、そういった情報提供があった時点で、消防署でも巡回警備するようにしている。以前、情報伝達のあり方が問題になったことがあり、このような情報提供のルートが整備されている。

(さいたま市)
 さいたま市では、県警から提供される情報を「子ども110番」の家などにどのように配信するかということが課題となっている。タイムラグをできるだけ少なくするような伝達手段について教育委員会と検討を進めているが、これによって緊張感のある防犯活動ができるのではないかと考えている。

(大阪市)
 これまで区役所と所轄警察署の連携は、特に意識されてこなかった。区役所にも「防犯は警察」という意識があったので、自主防犯ボランティアへの支援を区長権限としたことをきっかけに改善を進めているところである。支援のためには防犯団体に関する情報が必要であるが、区役所としてはそういった情報を把握していなかったので、所轄警察署との連携を進める必要が生じている。
 また、自主防犯ボランティアへの支援を行うことによって、区役所にも防犯への担当意識が根付いていくと考えている。

(川崎市)
 川崎市では、昨年末から不審者情報のメール配信システムを開始した。また、身近な犯罪情報については、市のホームページで配信しているところである。その他、行政区と所轄警察署が連携した情報発信や、防犯協会による情報発信など、区ごとに多様な情報発信が行われている。

(広島市)
 行政区と所轄警察署の管轄区域の不一致は、広島市においても課題になっている。理想は1区1署に改編することだが、予算の都合もあり、難しいところである。また、以前は市の防犯に対する意識は薄かったが、暴走族対策を契機に意識が変化してきた。
 不審者情報については、やはり何をもって不審者というかということに課題がある。
     
(2)安全・安心に関する制度改革について
     「安全・安心まちづくり」に係る制度改革提案の方向性について、これまでの検討内容を踏まえた事務局の素案をもとに意見交換を行った。
  ○事務局素案の概要
     当初の市長会議における議論では、生活安全や交通関係の警察権限を指定都市へ移譲すべきではないかとの意見があり、また、指定都市市長会でとりまとめられた地方分権に関する提言の中においても検討事項となっているが、本プロジェクトでのこれまでの検討内容を踏まえると、警察権限の移譲の必要性については多様な意見があり、指定都市としての合意が図れるかは分からない状況である。
 では、制度改革として何を訴えるのか。地方分権の前提としての国と地方の役割分担を明確にするという観点から、「安全・安心まちづくり」について考えてみると、テロ等を含む治安は国の役割、犯罪捜査は都道府県警察の役割となっているが、「防犯」という分野を明確に示しているものはない。
 そこで、制度改革提案の方向性として、基礎自治体が重視すべき分野が「防犯」であるならば、それを役割分担論として整理したうえで、法体系の整備や地域連携体制の整備が必要であるといった具体的な内容を示しながら、指定都市が率先して提言していくことはどうかと考える。
     
  ○各市の主な意見
   

(北九州市)
 大都市特有の組織犯罪に対しては、市行政の力の及ぶ範囲には限界があるため、警察力の強化を含めた制度改革が必要であると、本市として、常々提案してきた。警察権限を市に委譲しようとするものではない。
 他にも、市行政として何らかの施策を実施し、又は連携を図るに当たって障壁となる制度があると思われるので、そうした障壁となる規制を見直す方向の方が検討はしやすいのではないか。

(福岡市)
 「防犯」というのは、そもそも非常に広い概念なので、その全てを基礎自治体が一義的に責任を負うということにはならない。実際に、警察においても防犯の取組みは行われている。
 「防犯」に関する役割分担を提言しようとするのであれば、基礎自治体が責任を負うべき「防犯」というものについて、例えば、地域の防犯活動への支援などは基礎自治体の役割とするなど、その中身を提示していく必要があるのではないか。

(広島市)
 市行政が「防犯」に取り組む根拠となる法律が欲しい。現在は、条例や宣言などをもとに自治体の防犯への取組みが進んでいるが、警察に警察法があるように、自治体の防犯については、出発点となる法律がまだ存在していない。そうした観点からも、基本となる法律を整備できないかという提言をしてもよいのではないか。

(横浜市)
 これまでの検討を踏まえると、警察権限の移譲という議論は難しい気がする。基礎自治体の役割を明確にしたうえで、地域と警察との連携も強めるような仕組みを提言するのがよいのではないか。

(大阪市)
 「防犯」について明確に法的な位置づけがあれば、市行政としての取組みもスムーズに行えるのではないか。現在は、条例で抽象的に記載されているだけで、曖昧な部分もある。

(樋村氏)
 自治体で防犯となると、自主防犯活動への支援などのソフト面の取組みが前面に出てくるが、実は、市街地整備などのハード面での取組みも忘れてはならない。こうしたハード面での取組みこそ、警察ではできないものであり、市行政に期待されている役割である。
 ただし、現状ではハード面の担当部局が防犯意識を十分に持っているとは言い難い側面がある。法制度がしっかりと整備されれば、意識も強くなるはずであり、提言にはこうした視点も欲しい。

(札幌市)
 防犯意識は、まだまだ浸透しきっていない。一方で、暗い公園があれば現実に人が困っているわけだから、インフラ整備においても防犯の視点は必要である。
 ただ、防犯対策が、組織犯罪や風俗営業の対策という話にまで発展していくと、市行政では手が回らない感がある。警察とのしっかりとした役割分担が必要である。

(大阪市)
 防犯カメラの設置などについては、根拠となる法律の整備が欲しい。現在では、民間が設置する防犯カメラへの補助はできるが、直接の設置は難しいし、プライバシーの問題等の課題も多い。

(福岡市)
 行政区と所轄警察署の不一致の解消や、市警察部の機能強化などを提言するということがあってもよいのではないか。

     
     
(3)その他
     プロジェクトにおける今後のスケジュールについては、検討テーマごとに次のとおりとすることが確認された。
  ○「市民参加による安全・安心なまちづくり」
     平成18年度の検討事項のまとめで整理した事項をさらに精査し、追加調査、ヒアリング等を行いながら指定都市全体としての取りまとめを行う。
  ○「繁華街・歓楽街の再生」
     これまでの調査に加えて、各市への追加調査・ヒアリングを行いながら、指定都市全体としてのとりまとめを行う。
  ○「安全・安心に関する制度改革」
     上記2つのテーマの取組みの成果も踏まえて内容を議論し、必要な提言を行う。
 この際、警察については、権限の話ではなく、あるべき役割分担の側面から検討するべきであるとの認識で一致した。
   
(了)